お弁当版「わらしべ長者」<後篇>

「このおむすびってご主人が作っていたんだ」

「タルトさんのご主人って料理できるの?」

「お仕事は何なの?」

 (これまでの話はこちら


が妻の弁当を作っているのがよほど珍しいのか、あれこれ きいてくる。

何から説明したらよいか、妻が口ごもっていると、女達の話題は いつのまにか、自分のに移っていった。


「うちのが作ったのなんて食べれないわ」

「そうよねえ。トイレから出て来て、手も洗わないのよ」

「うわー、それでおむすび作ったら、おなか壊しそう」

「タルトさんのご主人は手を洗うんでしょう?」

「え、ええ、そりゃねえ」

「いいわねえ」


そんなことで羨ましがられても、僕としてはまったく嬉しくない が、その日は妻の弁当が職場の話題をさらっていたそうだ。


「でもね、そこで終わったんじゃないのよ」

「どうしたの?」

「サカイさんが、あなたが作ったおむすびを食べたいって 言うから、ひとつ、あげたの。そうしたら、もらうだけでは 悪いからって、おかずをくれたのよ」

「わらしべ長者みたいだね」


おむすび


「それでね、今度はヤマモトさんも換えようって言うの。でも、 皆と換えたら、私が食べる分がなくなっちゃうじゃない?」

おむすび食べなかったの?」

「食べたわよ、2個だけ。その代わり、今日換えられなかった 人のはまた明日って予約が入っちゃった」

おむすびの予約なんて聞いたことないねえ」

「でしょう? でね、明日のおむすびなんだけど、いつもより 多めに作ってくれない? 12個とか」

「余分に作れって言うのか!?」


妻の昼食のおかずを心配する必要がなくなったのは歓迎だが、 妻の同僚のために余分におむすびを作らねばならなくなるとは、 想像したこともない事態だ。

その夜から、僕の家事が増えてしまったのである。


もなか 記


もなかのお弁当づくりの話はこちら 妻のお昼におむすびを作る


 にほんブログ村 家族ブログへ


お手数ですが、上のバナーをクリックしていただけませんか? 
「にほんブログ村」「人気ブログランキング」に参加しています。
 バナーから、同じカテゴリで書かれたブログの一覧に移動できます。


関連記事
スポンサーサイト



0 Comments