はじめての贈り物

からの最初の贈り物を、わたしは今でも鮮明に覚えている。
とても重かったからだ。

何度目かのデートの帰り際、のちにになるひとはこう言ったのだ。
「あっ、そうだ。これ使ってみて」
30センチくらいの高さの箱を受け取ると、ずっしりとした手応えがあった。
「…これは?」
浄水器。もっていないと言っていたから」

健康に人一倍敏感な、彼らしいプレゼントだと思った。
しかし、据え置き型の大きな浄水器は重かった。
本体だけで2キロはあったのだから、家までの道のりがずいぶん遠く感じた。

そのころわたしは、深刻な手荒れに悩んでいた。
東京のは、わたしの郷里よりも塩素が強く、ごはんを炊いても、サラダを作ってもにおいが気になった。
引っ越して間もなくすると、夏だというのにあかぎれが始まった。
が合わない、とはこういうことかと体験的に理解した。

と知り合ったのころには、東京で暮らすようになってもうずいぶん経っていたけれど、それでも手荒れの問題はなかなか解決しなかった。
きれいな手指とはかけ離れた生活だったので、何かの拍子にわたしが言い訳がましく話したのかもしれない。
彼はそれを覚えていたのだ。

花束よりも装飾品よりも長持ちして、その浄水器は今もわたしのそばにある。
変わったのは、住む家と、贈り主が一緒に住むようになったことだ。 

タルト 記 

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